CIDPとは、chronic(慢性)、inflammatory(炎症性)、demyelinating(脱髄性)、polyradiculoneuropathy(多発根神経炎)の頭文字をとった病名です。私たちの体の神経系は、脳・脊髄からなる中枢神経と、それ以外の末梢神経がありますが、この病気では、末梢神経に慢性的に炎症が起こることで、筋力低下やしびれなどが生じます。末梢神経は、電気コードに例えますと、電気信号を伝える中心となる「軸索」と、「軸索」のまわりをカバーのように覆って電気伝導を助ける役割をする「髄鞘」から構成され、この病気ではそのうちの「髄鞘」の部分が炎症により破壊されることで起こります。炎症の起こる原因ははっきりとわかっていない部分が多いものの、自己免疫反応の異常により生じていると推測されています。2か月以上、ほぼ左右対称の筋力低下や感覚障害が進行し、診察上、腱反射の低下などがみられ、神経伝導検査という電気生理学検査によって異常の所見を認めることから診断されます。そのほかの検査として、髄液検査(腰椎穿刺)での髄液蛋白上昇や、MRIでの神経根などの異常を確認します。
初期治療として、副腎皮質ステロイド薬、免疫グロブリン点滴治療、血液浄化療法の効果が確認されています。その後、必要に応じて維持療法が選択されます。