その「もの忘れ」
年齢のせいだけ?
認知症専門医が、記憶の変化を
神経学的に評価します
「最近、もの忘れが増えたかも」
そんな小さな変化に気づいたら…
年齢とともに誰にでも起こり得るもの忘れ。
けれども、同年代と比べて頻度が多いと感じる…
生活に支障をきたすような場面が増えたと感じる…
そんな場合には、注意が必要です。
もの忘れには、原因によって適切な対応や治療法が異なります。
まずは認知症専門医による診察で、
正確な評価を受けることが大切です。
受診の目安
以下のような症状がある場合は、
認知症専門医の受診をおすすめします。
□物忘れが急に増えたと感じる
□日常生活に支障が出るミスが増えた
□同じ話を繰り返すことが多くなった
□予定や約束を忘れることが目立つ
□家族や周囲から異変を指摘された
これらの症状は病気が進行している可能性もありますので、
「もの忘れ」が気になりだしたら、
安心のためにも神経内科の認知症専門医に診てもらうとよいでしょう。
もの忘れの
原因と分類
もの忘れにはさまざまな背景があり、
大きく分けて以下のような原因が考えられます。
認知症に関連するもの忘れ
【アルツハイマー型認知症】
最も頻度が高く、記憶障害を中心に徐々に進行します。
初期には「同じことを何度も尋ねる」「予定を忘れる」
などが目立ちます。
【脳血管性認知症】
脳梗塞や脳出血による脳の損傷が原因で発症します。
「まだらボケ」と呼ばれ、しっかりしている時と
混乱する時が交互に見られることが特徴です。
【前頭側頭葉型認知症】
失語症を伴ったり人格変化を伴う認知症で、
初期には物忘れを生じないため受診が遅れる傾向があります。
【レビー小体型認知症】
幻覚・妄想や大きな寝言を伴い、
歩行困難などのパーキンソン症状を伴う認知症です。
手術・治療で改善が期待できるもの忘れ
【正常圧水頭症】
脳脊髄液の流れが滞ることで脳が圧迫され、
歩行障害・尿失禁・認知機能低下が起こる病気です。
脳外科手術(シャント手術)で症状が改善する可能性があります。
【慢性硬膜下血腫】
頭部打撲後に血液が脳を圧迫し、
認知機能の低下やふらつきを引き起こすことがあります。
こちらも手術による改善が期待できます。
内科疾患に関連するもの忘れ
【甲状腺機能低下症】
甲状腺ホルモンが不足することで、
集中力低下や記憶障害を起こすことがあります。
薬物治療によるホルモン補充で回復が期待できます。
認知症専門医による
診断の特徴
もの忘れの原因を見極めるためには、
単なる問診だけでなく、総合的な評価が必要です。
大阪・都島の氷室クリニックでは、認知症専門医が
①詳細な問診
②認知機能検査(MMSE、時計描画テストなど)
③MRIなどの画像検査
④必要に応じた血液検査(甲状腺機能など)
などを組み合わせて、「単なる加齢によるもの」か「治療が必要な病気によるもの」かを丁寧に判断していきます。
もの忘れの治療法と
生活へのアドバイス
治療は、診断された原因に応じて異なります。
【アルツハイマー型認知症】
進行を遅らせるための薬剤(ドネペジル、メマンチンなど)の使用と、生活支援。
当院では抗アミロイド抗体による
早期アルツハイマー型認知症の治療を行っております。
【脳血管性認知症】
血圧・血糖・脂質異常の管理、脳血流の改善。
【正常圧水頭症・慢性硬膜下血腫】
脳外科手術による圧迫の軽減。
【甲状腺機能低下症】
ホルモン補充療法による機能回復。
また、日常生活では、
□バランスの良い食事
□睡眠の質の向上
□適度な運動
□脳トレや社会活動への参加
などが、認知機能維持に役立ちます。
よくある質問(FAQ)
Q1.
もの忘れと認知症はどう違うのですか?
A1.
加齢による自然なもの忘れは、生活に支障をきたさない範囲ですが、認知症では生活全般に影響が及びます。診断には専門的な評価が必要です。
Q2.
認知症ではないもの忘れも治療できますか?
A2.
はい、甲状腺機能低下症など原因が特定できれば、治療によって改善するものもあります。
Q3.
受診時にはどのような検査をしますか?
A3.
詳細な問診の後、 認知機能テスト、MRIによる画像検査、血液検査など、症状に応じた検査を行います。