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MRI

神経内科×MRI “見える診断”の裏側 02

case 02

MRIで挑んだクラウンデンス症候群


【監修】氷室クリニック院長・氷室公秀(医学博士・神経内科専門医)
MRI・診療放射線技師チーム RadiLink

CONTENTS

1:クラウンデンス症候群とは
2:MRIで挑んだクラウンデンス症候群の撮影工夫
  2-1:MRIで確認できるCDSのポイント
  2-2:MRIでCDSを捉えるための工夫と実際
  2-3:患者さまへの説明とサポート
3:MRIでみられる典型的な所見
結論:MRIでもCDS診断が可能

クラウンデンス症候群(Crown Dens Syndrome:CDS)は、
後頭部や首の後ろに突然強い痛みが生じ、
首を横に向ける動き(回旋)が大きく制限される
ことを特徴とする疾患です。

CDSは、症状が頚椎症と似ているほか、
痛みとともに発熱を伴う場合には
髄膜炎との区別が必要になることがあります。

髄膜炎では、首を前に倒す動き(前屈)
が制限されますが、
CDSでは 前後の動きだけでなく、
左右に振り向く動きも制限される
ことが特徴です。

この点が診断の重要な手がかりとなります。

CDSは、いわゆる
「偽痛風(ピロリン酸カルシウム結晶沈着症)」が、
首の関節(第1・第2頸椎周囲)で生じることで
発症すると考えられています。

関節内に結晶が沈着すると炎症が起こり、
その結果、強い痛みや可動域の制限が現れます。

検査・診断方法

診断には、
CT検査で第1・第2頸椎の関節に
カルシウムの沈着があるかどうかを確認する
方法が一般的です。
これは結晶の有無を明確に評価できるためです。

ただし、
放射線リスクの心配がない
MRIでも診断を進めることが可能です。
患者さまの状況に応じて、
適切な検査方法が選択されます。

大阪・都島の氷室クリニックでは、
診療放射線検査業務で高い信頼のある
技術者集団「RadiLink(ラジリンク)」さんに
MRI撮影を委託しています。

本コラムでは、
このCDSのMRI診断について
「RadiLink」さんに解説していただきます。
氷室クリニック院長・神経内科専門医 氷室公秀

2-1:MRIで確認できるCDSのポイント

CDSの診断は、一般的には
CTでのカルシウム沈着の確認が重要ですが、
MRIでも診断の手がかりとなる特徴的な所見
を捉えることができます。

MRIで注目すべきポイントとして、
次のような所見が挙げられます。
 □ 歯突起周囲の靭帯や滑膜の肥厚
 □ 造影剤投与後の異常な増強効果
 □ 環軸関節周囲にみられる液体貯留
 □ 歯突起骨髄の異常信号

これらの所見を丁寧に評価することで、
CTだけでは分かりにくい炎症の広がりや
組織変化を把握できる可能性があります。

本稿では、CDSをMRIで
「見逃さない」
「しっかり特徴を捉える」
ための撮影上の工夫について、
実際の技師の視点から整理しました。

あわせて、
氷室クリニックでの撮影例も紹介しながら、
診断に役立つポイントを解説していきます。

2-2:MRIでCDSを捉えるための工夫と実際

MRIでCDSを見つけるために大切なポイント

MRIでは、カルシウム結晶そのものを
直接描出することは難しいものの、
周囲の炎症反応や滑膜の肥厚など
“変化のサイン”を捉えることで
CDSを疑うことが可能です。

そのためには、撮影前の十分な説明や、
患者さまが安心して検査を受けられる
安定した撮像環境づくりが非常に重要になります。

●撮影時の工夫(技師視点)

■ 撮像範囲
C1〜C3間隙付近を中心に、軸椎(C2)を重点的に評価します。

■ スライス厚 
通常の頸椎MRIよりも薄め(約2 mm前後)を目安に設定し、細かな変化を捉えやすくします。

■ 空間分解能
高分解能(約0.6 × 0.6 mm)を目標に設定しつつ、SNR(信号雑音比)を確保できるようNEXなどでバランスを調整します。

■ 撮像時間
高分解能化により時間が延びやすいため、全体で20分以内に収まるようシーケンスを最適化します。

■ 撮像シーケンス
○Sagittal(矢状断):T1WI / T2WI / STIR
○それらで変化を確認後、
Axial(水平断):T2WI / T1WI を追加

また、Shimming(磁場補正)を丁寧に行い、歪みや信号ムラを抑えることが重要です。

2-3:患者さまへの説明とサポート

撮像条件と同じくらい大切なのが、
患者さまとのコミュニケーションです。

□ 撮影前に、首の動きが制限される検査であることを丁寧に説明
呼吸や嚥下(つばの飲み込み)をできる限り少なくするよう事前に案内
□ 撮影中も、定期的な声かけで安心感と協力を促す
頚部固定具(ネックカラーなど)を使用し、動きを最小限に抑える

このように、CDSのMRI撮像では、
「撮像条件の工夫」だけでなく、
「患者さまとのコミュニケーション」や
「体位固定」が、診断精度を大きく左右します。

氷室クリニックでは、
こうした技師視点の工夫を取り入れながら、
CDSをより確実に捉えるための撮影を行っています。

CDSをMRIで評価する際は、
石灰化そのものより
“周囲の変化”を丁寧に拾うこと
が重要です。

確認ポイント

確認すべき主なポイントは次の3点です。

①石灰化そのもの

T1・T2ともに低信号(黒く抜けるように見える)として描出されます。
○カルシウム結晶はプロトンをほとんど含まないため、MRIでは信号が出にくいのが特徴です。

②石灰化周囲(滑膜・靭帯・関節包)

○炎症によりT2で高信号、さらにSTIRではより明瞭になります。
○こうした周囲の炎症や浮腫が“手がかり”となり、結晶の位置を間接的に推測できます。

③造影後(T1 + Gd)

○カルシウム結晶自体は造影されませんが、周囲滑膜や軟部組織が増強される場合があります。
○とくに滑膜炎の評価に有用です。

まとめ

MRIでは、
カルシウム結晶そのものは目立ちにくいものの、
周囲にみられる炎症所見が複数そろえば、
CDSを疑う重要な根拠となります。

これらの変化を丁寧に観察することで、
MRIでもCDSを見逃さずに評価することが可能です。

クラウンデンス症候群の診断では
CTが第一選択となりますが、
MRIでも周囲組織の炎症や
液体貯留といった変化を捉えることで、
診断の大きな手がかりになります。

そのため技師には、
□適切な空間分解能やスライス厚の設定
□患者さまの協力を得た、安定した撮像環境の確保

といった“確実に撮るための工夫”が求められます。

氷室クリニックでは、
これらの撮影手技の工夫に加えて、
患者さまへの丁寧な対応を徹底することで、
MRIでもクラウンデンス症候群の特徴を
より明瞭に描出することが可能となりました。

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