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神経内科コラム

片頭痛と どう向き合う?患者さまの声と看護師の体験をヒントにした頭痛との付き合い方

氷室クリニック 看護師 井出典子

CONTENTS

1.片頭痛の患者さまとの処置室での会話
2.片頭痛と生活のしんどさ
3.注射薬と内服薬、効果の感じ方
4.片頭痛の予兆に気づく
5.薬との付き合い方
6.看護師自身の片頭痛体験
7.頭痛に振り回されないために

1.片頭痛の患者さまとの処置室での会話

私たち看護師は、
片頭痛で通院されている患者さまと、
処置室で2人きりになるときがあります。

他の患者さまへの配慮や、
医師に聞いてよいかわからず
聞けなかったことなど、
片頭痛への思いや感じていることを
打ち明けてくださることがあります。

こうした会話は、
片頭痛を経験している方なら
共感できるのではないでしょうか。

ネット検索や診察では得られない
「リアルな声」が、
処置室には集まっています。

2.片頭痛と生活のしんどさ

片頭痛は見た目では分かりにくく、
本人にしか痛みの辛さが分かりません。
仕事や家事を休むことへの罪悪感や、
周囲の理解が得られず、
肩身の狭い思いをされる方も多いでしょう。

また、片頭痛の患者さまには
真面目で人に頼るのが苦手な方
が多い印象もあります。

「頭痛くらいで…」と我慢してしまうことが、
症状をさらに悪化させる原因になりかねません。

頭痛の原因が明確な場合は、
それらを回避すればよいのですが、
回避もなかなか難しいもの。

頭痛と「うまく付き合っていく方法」がわかれば、
しんどさも少しは軽減できるのではと思います。

3.注射薬と内服薬、効果の感じ方

片頭痛の治療では、
内服薬でコントロールしきれない場合に
注射薬(CGRP関連薬)
を使用することがあります。

ただし、感じ方には個人差があり、
注射薬を使ったからといって必ず
「頭痛ゼロ」
になるわけではありません。

「高い注射薬なのに効いているのかわからない」
とおっしゃる方も少なくありません。

でも、注射薬を使うことで…

  □今まで効かなかった痛み止めが効くようになった

  □寝込むような頭痛が減った

  □発作の回数や強さが軽くなった

このように
「日常生活のしやすさ」
という形で効果を実感されている
声を聞くことがあります。

“ゼロ”を目指すのではなく、
生活がどう変わったか
に注目するのがおすすめです。

また、頭痛のタイプによって
対処が真逆の場合があります。

 片頭痛 → 血管の炎症が関与するため冷やすと痛みが軽減することがある。

 肩こり頭痛 → 筋肉の緊張が原因なので温めると楽になる

両方を持っている方は、
自分の頭痛のタイプを見極めて対応しないと、
かえって悪化させてしまうことがあります。

自分の頭痛のタイプが分からない方は、
専門医での受診をおすすめします。

4.片頭痛の予兆に気づく

片頭痛の患者さまの話を聞いていると、
人それぞれで異なる「前触れ(予兆)」
があるようです。

自分の予兆を知っておくと、
薬を飲むタイミングや対策を取りやすくなります。
みなさんはどんな予兆がありますか?

5.薬との付き合い方

薬を飲んでいらっしゃる方は、
副作用や「飲み続けていいのか?」
という心配があると思います。

たとえば予防薬の中には
血圧を下げる作用を持つものもありますが、
生活の質を考えると
服用を続けた方がよいケースもあります。

一方で、生活環境の変化によって
頭痛が減る、あるいはなくなることもあります。

「症状が落ち着けば薬を減らす・やめる」

「再び増えれば再開する」

など、ライフスタイルに合わせて、
柔軟に対応することが良いかと思います。

6.看護師自身の片頭痛体験

ここまで患者さまのお話を中心に紹介してきましたが、
私自身も片頭痛患者の一人です。

初めての発作はホルモン療法中のこと。
脳が揺れるような気持ち悪さと吐き気、
ガンガンと脈打つ頭痛に襲われ、
気づけばマーライオンのように嘔吐していました。

少しでも頭が動くと頭痛がひどくなるので、
トイレに顔をつっこんだまま、
しばらくじーっと動かず過ごしたのが
初片頭痛でした。

その後も、天気や排卵、月経、飲酒、
寝不足、寝過ぎ、ストレスなどで頭痛が頻発。
仕事の遅刻や急な休みで申し訳ない限りでした。

薬のタイミングを逃して、
急に左手足に力が入らなくなり
一過性脳虚血発作になったこともあります。
後日MRI検査で調べてみたら、
脳梗塞の跡が見つかりました。

このような経験を経て、
「待ってました!」
とウキウキして始めた注射薬!

ですが、最初は思ったほど
効果を感じられませんでした。

内服の予防薬と痛み止め+注射薬で
頭痛をコントロールする日々。
費用がかかる割に「頭痛ゼロ」にはならず、
ガッカリしていたところ、
医師に「注射薬を使う前と後で何が変わったか?」
と問われました。

振り返ってみると…

 ●頭痛が起こる前に痛み止めを内服しても効きが悪かったが、注射薬を使用するようになって痛み止めが効きやすくなった

 ●寝込む回数が減った

 ●生活のしやすさが明らかに改善していた

と気づきました。

今では予防薬も減り、注射薬も卒業。
頭痛の原因となる生活習慣を避けながら、
日常生活を過ごせるようになりました。

7.頭痛に振り回されないために

片頭痛は、
「本人にしか分からないつらさ」があり、
周囲から理解を得にくい病気です。

しかし、注射薬や予防薬をうまく使い、
生活の中で工夫することで、
「頭痛に振り回されない日常」
を取り戻せる可能性があります。

同じように悩む方にとって、
患者さまや看護師の声や体験が
少しでも参考になれば幸いです。

・・・・・・・

本記事は当院看護師による体験談・観察記録を中心に構成しています。診断や治療を保証するものではありません。

また、医療的な記述については、神経内科専門医・氷室公秀が監修しています。症状に不安がある方は、必ず専門医にご相談ください。

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